佐藤敬夫総合研究所
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〜リーダーと経営者−ステージにあわせた思考法〜
講師:田口佳史氏(老荘思想研究者)

日時:2009年10月23日(金)午前11時開場・午前11時15分開始
場所:東京・六本木ヒルズクラブ
   東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー51階
日本大学芸術学部で映画撮影の経歴を持つ田口先生ですが、海外での映画撮影の際に、生死をさまよう事故に遭われました。
その病巣にて思想・哲学の大切さに目覚め、以降40年に渡り東洋思想を学んでおられます。

このように、老子・荘子の考え方など東洋思想をバックボーンに持ち、その発展型として経営発想を記した著書「TAO MANAGEMENT」はアメリカの著名な大学の経営指南書にもなっています。

現在では、東京・杉並区の教師を育成する塾「杉並師範館」の理事長を務められるほか、家庭教育にも力を注いでおられます。

様々な形で存在する「リーダー」という立場を担ううえで、共通する精神・思想のあり方を中心に講義をおこなっていただきます。
私と田口先生は30年を超える付き合いになります。
出会いは、私が政界に足を踏み入れた頃、田口先生のお声がけにより開かれた中小企業の幹部を集めた異職会でした。
この会で私は、政治家にとってに必要不可欠である志や思想において共感を得ることができました。

本日は、企業のリーダーである経営者としてワンランクアップするための精神的・思想的な面、決断に迫られた時の判断力の糧になる講義が受けられると存じます。

私自身、近頃全国をまわってひしひしと感じるのが、この政権交代で日本国民は成熟した国民性、タフさを持ち始めているということです。政権交代が失敗であったなら、その責任は自身で持つというぐらいの気概が見られるようになっています。

私たちもそれに負けない精神・思想において太い芯のある、タフな経営者として生きていかねばなりません。
私が、はじめて佐藤先生にお会いした頃、当時の私はまだまだ無名の青年でした。
しかし、佐藤先生に出会い、その人脈・ネットワークの広さを知り、より良い人生とは、より良い人間関係によって築かれるということを教わりました。
そして、その人間関係を築くうえで一番重要なのが真心・思いやり、すなわち「徳」なのです。

様々な要素によって構成される中国古典で、とくに二大思想と言われる孔子の論語など儒家の思想、老子・荘子の老荘思想があります。
これらは相反する対比的なもので、西洋思想ではこれを二元論として扱われますが、江戸の日本人はこの異なる思想を使い分けたと言います。
「上り坂の儒家・下り坂の老荘」、「昼の儒家・夜の老荘」など高度な思想を楽しむという心の余裕があったのです。
そして、現在の西洋でも相反する二つの思想を区分するのではなく、相補い合うという相補(コンプリメンタリティ)の考え方が流れはじめています。

このように世界的にも注目されはじめている東洋思想を軸に経営者としての思考法をお話ししていきたいと存じます。



東洋・西洋に関わらず、リーダーシップというものには構造があります。
そして、様々なリーダー論の中で唯一共有化され、構造の第一とされているのが「土壌風土」です。
つまり人間としての「土台」になるのですが、このフェーズをしっかり理解していなければ、土台のない、非常にもろく崩れやすい構造になってしまうのです。
私たちが日本人である限り、この土壌風土というものは日本であり、東洋であると考えられます。
つまり土壌風土とは、伝統(DNA)として授かったものであり、私たちが語る言葉の一つ一つにもそのDNAが背景としてあるのです。そしてDNAを味方につけるということが、重要な交渉ごとなど、困難な局面に魅せる人間力そのものになり得るのです。
また、私たちが授かったDNAは無理なく自然なものでなければなりません。
東洋人・日本人として何が大切なのか、東洋・日本の伝統的な知恵・見方・考え方を再度認識する必要があるのです。
今後、経営者・リーダーとしての土台を築くためにも、東洋・日本の伝統的な知恵・見方・考え方といった東洋思想哲学、日本伝統精神文化を知り、東洋人・日本人としての土台(精神基盤)を築く必要があるのです。

では、これまでの東洋・日本の歴史でリーダーを担ってきた人物が何をもってリーダーシップとしたのでしょうか。
その要素としてまず挙げられるのが、「不動心」です。
ちょっとしたリーダーの心の動きが、周囲に不安感の情勢を与えるということが多々あります。
リーダーの一つのあり方として何事にも動じない心、変わらぬ表情が部下や周囲の人々に安心・信頼を深め、継続されることになるのです。
この不動心とは孟子の言葉で、「自ら反りみて縮(なお)くんば、千万人と雖(いえど)も、われ往かん」と説いています。これは自らの心を反りみて、やましいところや負い目を感じるところがなければ、たとえ千万人が背いても自らの正しい道を歩むことができるということです。
この精神基盤が東洋のリーダーシップの基本であり、これを磨かなければ、いくら知識が豊富で学術的領域において優れていても危機に直面した時に実力が発揮できないのです。

物事を観察、思考するうえで東洋的視点というものがあります。
これは、根源的(問題を察知した時、この根源は何なのか、何に起因するものなのかということを真っ先にひらめく)・長期的(その極面のみではなく長い目でものを見る)・多様的(状況の変化をふまえ、様々な可能性を考える)な視点を持つことでその人自身の大局観を得ることができるのです。
この大局観を持たない単発的な考え方のリーダーは非常に危なっかしいものになってしまいます。

次に、宿命・運命から立命へと意識を変えていかねばなりません。
立命とは、他者に委ねることなく自ら道を切り開いていくという気概をもつということです。
他者とは、時に人であり、状況であったりと姿を変えます。
自分の社会的役割を知り、それを果たすために生きることがリーダーとしての立命なのです。

これらを総合すると、状況や環境に左右されずに、自己を確立することで正々堂々と正しい人生を歩むことが必要であるといえます。
リーダーたるもの、自己の確立なくしては周囲の確立はあり得ないのです。



では、正しい人生というのはどういうものでしょうか。
私たちのような漢字圏で暮らす人々にとって、その文字に立ち返って考えるとヒントを得られることが多々あります。
様々な字や形の組み合わせによって形成されている漢字は、多くの意味を持っています。
この「正」という字は、見方によっては一本の線と「止」という字の組み合わせと捉えることができます。
まさに「正しく生きる」ということは、勇み行き過ぎることなく、また成し遂げずに踏み留まるわけでもない「この線で止まれ」ということなのです。
つまり、この線は「規範」に例えることができます。
規範とは、判断・行動などのあらゆる基準のことをいいます。
私たちは朝起きてから、夜再び床につくまでに大小様々な判断・決断に迫られる日々を過ごしています。
経営者であるならば、その判断・決断は周囲に大きな影響を与えます。
この規範を身につけるだけではなく、共有化できる規範を形成しなければなりません。

そして、この規範をもとに無数のコミュニティによって成り立っているのが社会です。
また、社会は人と人、すなわち自己と他者のつながりであり、社会を保つということは、良い人間関係を構築、維持することから始まります。
自己中心・利己主義に走った途端、社会から疎外され、孤立してしまいます。
自己の最善を他者に尽くしきることで、感謝の人間関係が成立し、自らの「徳」を積むことになります。
松下幸之助氏は言いました。
経営者の条件とは、「運が強いこと」。その運を強くするためには徳を積むことが必要であると。
「徳」とは感謝の意に置き換えることができます。この感謝の人間関係は一番崇高な関係であり、一番脆いのが利害関係なのです。
自分の役割の中で、他者に尽くし、他者の喜びを自己の喜びとすることで、自ずと「利」は生じます。
「利」とは、単に企業利益だけではなく、その周囲の人間関係をも表すのです。
経営者など重責のある立場であればあるほど、スキルのみに頼ることなく、社会の根底にある「人」に視点を向けなければならないのです。
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